教員免許更新制廃止報道に思う

 教員免許更新制が廃止されるという。

 更新制の在り方について議論が始まったときから、何かしらの負担減にはなるだろうとは思ったが、廃止とは思い切ったなというのが正直な感想だ。

 だが、数日前から予感はあった。7月5日の会議資料が文科省HPで公開されているが、更新制に肯定的な資料が一つもなかった。これは廃止の流れじゃないかと思っていたところ、今日の報道である。予感的中というわけだ。そして、大歓迎である。

 

 僕も一度、更新講習を受講し、免許更新をしたことがある。しかし、講習受講前と同様、何の意義も感じなかった。金と時間の無駄だと思った。

 勿論、教員も知識やスキルをアップデートしていくことは必要だ。しかし、スキルについては経験によって身についていくし、知識は教育委員会等が主催する研修で身についていく。現場を知らない大学の先生が講習を担うというシステムがおかしい。

 

 制度開始から10年あまりでの方向転換というのは、国がする施策としては、制度設計として杜撰だったと言わざるを得ない。制度導入に伴う負の側面は予想できたことである。もっと議論を重ねてほしかったと思う。

 しかし現在、制度を作る立場にいる僕としては、文科省の立場がわからないわけでもない。影響力の強い人間が言い出した施策は、時間的余裕がないまま、十分な議論が尽くせないまま、決定事項となることがある。だからこそ、リーダーには柔軟性かつ広い視野が必要なのであるが、全ての組織に優れたリーダーがいるわけではない。

 優れたリーダーがいる組織の決定事項はその組織を豊かにし、そうでないときは災難となる。リーダーの資質というのは、本当に大事であると、近頃よく思う。