選抜高校野球開幕!

 昨日(3月23日)、第91回選抜高校野球が開幕した。野球というスポーツは、かつて指導に携わっていた中学野球以外、プロ、高校野球など、違うカテゴリーの試合はこれまでほとんど見ることがなかったが、今大会は興味がある。
 それは、中学野球との接点を多くのいくつかの部分で感じるからである。

 

 甲子園に出場する学校の選手の殆どは全国的に見て、中学時代、硬式のクラブチームに所属していた選手が多い。僕自身、硬式の経験はないが、やはり中学の段階から硬式野球に慣れているという影響は大きいのだろう。
 しかし、今大会の優勝候補に挙げられている石川県代表の星稜高校は、全ての選手を知るわけではないが、選手の殆どが軟式出身である。勿論、軟式出身と言ってもレベルが高いことは言うまでもない。バッテリーを組む奥川と山瀬の二人は中学3年のときに全国中学校軟式野球大会で優勝している。しかも、その年の同じ時期に開かれた全日本少年軟式野球大会で星稜中が優勝している。中学3年の夏に開催される2つの全国大会で石川県勢が共に優勝したのだ。これはとてもすごいことである。そして、奥川と山瀬、さらに星稜中のそのときの主力メンバーが殆ど星稜高校に進学し、現在のチームの核になっている。強いはずである。
 昨日の奥川の投球は圧巻だった。履正社相手に17奪三振である。この数字には驚く他ない。履正社の監督も「高校生のレベルを超えている」というようなことを言っていたが、履正社相手に17奪三振というのは、奥川の能力の高さをこれでもかというくらい物語っている。正直、フォームがあまり良くないなと思うのだが、これからも過度な投球にならないよう、順調に成長していってほしい。

 

 さて、星稜の他に軟式とのつながりがある高校と言えば、兵庫県代表の明石商業もある。この高校は、申し訳ないが選手のことはよく知らない。監督の狭間善徳氏が、かつて中学校の軟式野球で指揮をとっていた方なのだ。一度、狭間監督の講演を聴きにいったことがあるのだが、この人の野球に対する情熱、探究心には本当に驚いた。おそらく、四六時中、野球のことばかり考えているのだろうと思った。中学野球で全国制覇を何度か成し遂げた後、明石商業に赴任し、無名校だった同校を現在、甲子園常連校にまでした。その指導力には感服するしかない。昨今の高校野球は、細かい作戦をせず、とにかく強打で攻めることが多いが、狭間監督の野球は中学野球指導経験もあるせいか、細かい作戦が多い。それが自分にも勉強になることもあり、明石商業の試合は見たいと思うのである。

 

 最後に、我が熊本代表、21世紀枠での出場となる熊本西である。選手全員が周辺の中学校の軟式野球部出身者である。秋の九州大会でベスト8とはいえ、正直、戦力的にはかなり厳しい方だろう。しかも、一回戦の相手は名門、智弁和歌山。普通に考えて、勝てる確率は低い。しかしながら、智弁和歌山に驕りがあり、少ないチャンスを奇怪な戦術でものにできるのであれば、勝機は十分にあると思う。昨夏の金足農業が見せたツーランスクイズのような、相手が想像もしない作戦を随所にすることができるなら、勝機はあるのではないかと思う。

 

 他にも、軟式野球と関係のある学校もあるだろうと思うが、申し訳ないが、熱心な高校野球ファンではない僕が知るのはこの3校である。今大会には出場していないが、宮城県仙台育英も、中等部を全国の強豪校に育てた須江監督が指揮をとるようになった。昨夏の甲子園では序盤で敗退したが、この先、確実に力をつけてくるだろうと思う。

 仕事の都合上、リアルタイムで試合を見ることはなかなかできないが、少しでも見れたらいいなと思う。頑張れ、高校球児たち。